道具いらずの梅干し
おもし、押しぶた、大きなホウロウの容器は使用せず、ジッパー付きの保存袋で漬けます。家庭サイズの本格的な梅干しづくり、挑戦してみましょう。(塩分17%)
写真: 松島 均
材料
- ・完熟梅 2kg
- ・粗塩 340g
- *梅の重さの17%。
- 【赤じそ漬け】
- ・赤じそ 300g(葉を摘んで正味)
- ・粗塩 51g
- *赤じその17%。
つくり方
梅のなり口に付いているヘタを竹串などで取り除く。
梅を傷つけないように流水でやさしく洗う。
布巾に少量ずつとり、塩をまぶしやすいように軽く水けを拭く。触ると手が湿めるくらいが目安。
ボウルに梅1kgを入れ、塩170gを手でまんべんなくまぶす。別のボウルに、残りの梅も同様に塩でまぶす。
ジッパー付きの保存袋の口を折り返して底までしっかり広げる。梅を入れても安定するようにガラスの容器などで受ける。袋の口を汚さないように、4の梅を丁寧に入れ、ボウルに残った塩すべてを入れる。残り1kgの梅も同様に、もう1枚の保存袋に入れる。
それぞれ保存袋に入れた梅を平らに広げてならし、空気を抜くようにして口を閉じる。2つの袋をバットに平らに重ね、上の袋がおもしになるようにする。
梅酢が上がるまで毎日、保存袋の表裏を返し、上下の袋を入れかえる。
2~3日間すると梅酢(白梅酢)が上がってくる。このまま赤じそが出回るまで暗くて涼しい場所におく。
赤じそは葉を摘み、流水でもみ洗いしてざるに上げる。
葉の水けを軽くきり、ボウルに入れる。粗塩の半量をふり入れ、全体になじませる。
残った水けがよび水となり、塩のなじみがよくなる。
赤じそのアクを出すようにしっかりもみ込む。
濁ったアクが出てきたら葉をギュッと絞り、別のボウルに入れる。濁ったアクは捨てる。
残り半量の塩をふり入れ、全体になじませる。
11と同様に葉をしっかりもんでアクを出し、ギュッと絞ってアクは捨てる。1回目のもみ込みよりきれいな色になってくる。
別のボウルに14の赤じその半量を入れ、保存袋の白梅酢100mlを加える。
赤じそをまんべんなくほぐすと、梅酢が鮮やかな赤色になってくる。
保存袋の塩漬け梅に赤じそを平らに広げ、16の梅酢も入れる。空気を抜くようにして口を閉じる。残りの葉も同様にして、もう1枚の保存袋の梅に広げ、口を閉じる。
バットに2つの袋を平らに重ね、暗くて涼しい場所に3週間~1か月間おく。毎日、保存袋の表裏を返し、上下の袋を入れかえる。
梅を干す。赤じそと赤梅酢はホウロウの保存容器などに入れて暗くて涼しい場所におく。土用干し用のざるを台に置き、汁けをきった梅を、間隔をあけて並べる。毎日、1日に1回、梅の上下を返す。夜は家の中に入れ、3日間干す。
台の両端に細い板などを置いてその上にざるをのせると、空気の通りがよくなり、乾きやすい。
梅を干し始めて2日後に赤じそを干す。梅と同様に赤じそ用のざるを台に置く。赤じそは汁けをよく絞り、ほぐしながら間隔をあけて広げる。
3日間干すと水分が抜けてシワシワになってくる。皮が柔らかそうで、色鮮やかに干し上がっているのが目安。
保存容器を用意し、1粒ずつ、梅をつぶさないように入れる。干した赤じそをふたのようにして梅干しにかぶせ、ヒタヒタより少なめに18の赤梅酢を注ぐ。残った赤梅酢は保存瓶に入れる。
暗くて涼しい場所で保存。冷蔵庫に入れれば、色がきれいに保たれる。
◆食べごろ◆
2~3か月後~。
◆保存期間◆
1年間以上。
◆できたても美味◆
1年間くらいたって塩がまろやかになったころがおいしいと言われますが、できたての赤じそのすがすがしい香りと、果物のようなフレッシュな香りもいい。
◆梅の大きさの目安◆
1粒の直径3cm、重さ約12gの中サイズ。梅に塩が全体に行き渡ると梅酢が出やすくなるので、同じ2kgの場合は、大きな梅より、表面積が多くなる小さな梅のほうが出やすい。
◆道具について◆
【ジッパー付きの保存袋2枚】
27×28cmの大きなサイズ。1枚で梅1kg分が平らに入る大きさを選ぶ。
【ざる2枚】
直径約50cmが2kgを干すのに最適。もう1枚が赤じそ用。金属の部分がないものがよい。
このレシピをつくった人
柳原 尚之さん
江戸懐石近茶流嗣家(しか)。祖父・敏雄、父・一成より和の基本を伝授される。現在、英語で和食を教えるなど、日本料理をグローバルに広げる活動も積極的に行う。1979年生まれ。趣味は茶道とクレー射撃。NHKの時代ドラマ「みをつくし料理帖」の料理監修や大河ドラマ「龍馬伝」の料理所作指導、料理考証も担当。
つくったコメント