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きょうの料理レシピ

ぬか漬け

季節の野菜を、発酵させたぬか床に漬けてうまみをしみ込ませる「ぬか漬け」。ほっとする味わいはもちろん、ぬか床を育てる苦労や楽しさも、ぬか漬けの醍醐味(だいごみ)です。シンプルな漬け方をご紹介します。

ぬか漬け

写真: 久間 昌史

材料

(つくりやすい分量)

・生ぬか 2kg
*なるべく精米したてのぬかを用意する。新鮮なぬかのほうが風味がよい。
【塩水】
・粗塩 400g
*ミネラル豊富な粗塩を使うことで、ぬか床の中の乳酸菌が元気になる。
・水 カップ10
・捨て漬け用の野菜 適量
・赤とうがらし (生) 3本
*抗菌効果があるため、ぬか床に入れて雑菌の繁殖を防ぐ。生でも乾燥でもよい。
・好みの野菜 適量
・粗塩 適量

つくり方

ぬか床をつくる
1

生ぬかの半量を鍋に入れて中火にかけ、混ぜながらいる。温まったら弱火にし、香りがたって少し色づいたら火から下ろす。

! ポイント

いることで香りがよくなり、余分な雑菌が減る。

2

1を新聞紙の上に広げ、表面を手ででこぼこにして粗熱を取る。

! ポイント

でこぼこにして表面積を大きくすると、早く冷める。

3

【塩水】をつくる。鍋に分量の水と粗塩を入れ、一度しっかりと沸騰させる(鍋の縁に塩の結晶がつくまで)。火から下ろして人肌まで冷ます。

! ポイント

沸かすことで水を殺菌し、ぬか床が傷みにくい濃い塩水をつくる。

4

2が冷めたら、残りの生ぬかを合わせ、手でよく混ぜ合わせる。

! ポイント

乳酸菌が豊富な生ぬかと香ばしくいったぬかを合わせるのが柳原流。

5

洗って水けを拭いた容器に4のぬかを移し、3の【塩水】を少しずつ加えながらよく混ぜる。

! ポイント

底から上下を返すようにして混ぜ、角の部分にも塩水が行き渡るようにする。

6

表面を平らにし、ぬらして固く絞った布巾で容器内側の側面をきれいに拭く。これでぬか床の完成。

! ポイント

このあと、捨て漬けをすると野菜から水分が出るので、ここでは堅めでよい。

捨て漬けをする
7

捨て漬け用の野菜をぬか床の中に埋める。キャベツの葉は1枚ずつぬかを包んでから押し込む。表面を平らにし、ぬらして固く絞った布巾で容器内側の側面をきれいに拭く。

! ポイント

【捨て漬けとは?】
ぬか床を安定させるために行う作業。できたばかりのぬか床は、乳酸菌が少なく、塩けがきつい。捨て漬けをすることで、乳酸菌が増え、塩もなれてまろやかになる。
【捨て漬け用の野菜】
キャベツの外葉、大根やにんじんの皮や葉、しょうがなどの野菜くずを使う。キャベツの外葉など野菜の葉は乳酸菌が多いのでおすすめ。
捨て漬け用の野菜は、少し頭を出しておくと、あとで取り出しやすい。

8

ふたをして暗くて涼しい場所に一晩おく。7の野菜をすべて取り出し、再度新しい捨て漬け用の野菜を漬る。これを1週間続ける。

本漬けをする
9

漬ける野菜の下ごしらえをする。なすときゅうりはそのまま、グリーンアスパラガスは根元を切り落とす。にんじんは皮をむいて縦半分に切り、長さを2~3等分する。新しょうがは皮をよく洗い、1かけずつ切り分ける。それぞれ、全体に粗塩適量をすり込む。

! ポイント

なすは表面を傷つけないよう、やさしく粗塩をまぶす。
今回使ったのは、なす、きゅうり、にんじん、グリーンアスパラガス、新しょうが。かぶや大根、長芋、キャベツ、セロリ、うど、かぼちゃなどでも。鮮度のよい野菜ほど、色よく漬かり、味もよい。

10

ぬか床に赤とうがらしを埋め、9の野菜を手で押し込むように埋める。

! ポイント

あとで取り出しやすいよう、頭を少し出しておく。一度漬けたら、その場所を動かさないほうが、色よく漬かる。

11

ぬか床の表面を平らにし、ぬらして固く絞った布巾で容器内側の側面をきれいに拭く。ふたをして暗くて涼しい場所におく。漬け時間の目安は、夏ならきゅうりは3時間、なすは5時間、にんじん、新しょうが、アスパラガスは一晩。冬ならいずれも一晩~1日間。

! ポイント

漬かり具合は、野菜の種類や気温、置き場所によって異なる。

12

ぬかを軽く落としながら、野菜を取り出す。

! ポイント

赤とうがらしは入れたままにし、年に1~2回取りかえる。

13

水でサッと洗ってぬかを流し、食べやすく切り分ける。

毎日の手入れ
14

1日1回は手で混ぜる。混ぜてぬか床に空気を入れることで乳酸菌が活発に働き、よいぬか床になる。漬けた野菜をぬか床から取り出し、底から上下を返すように角までしっかりと混ぜるのがコツ。空気が足りなくなると、むれたようなにおいがしてくるので、必ず毎日混ぜる。

! ポイント

容器内側の側面についたぬかは、ぬらして固く絞った布巾できれいに拭く。汚れたままにしておくと、雑菌が入る原因になる。

15

ぬか床が水っぽくなったら、ぬらして固く絞った清潔な布巾で表面を覆い、手で押さえて水分を吸わせる。まだ水っぽさが残っている場合は、布巾を洗って水けを絞り、再度吸わせる。作業を終えたら、布巾は外しておく。

! ポイント

あれば、専用の水取り容器を使っても。ぬか床に埋めて1日間くらいおくと中に水がたまるので、取り出して捨てる。

全体備考

【漬ける容器】
ここでは、2kgのぬかに対して、26.5×20.5×高さ11.5cm(内径/容量5.8リットル)のホウロウ製のふた付き保存容器を使用。このサイズなら冷蔵庫に入れることも可能。容器いっぱいにぬか床を入れると混ぜにくいので、ぬか床を入れると7~8分目の深さになる容量を目安に。ホウロウ製はにおいがつきにくく、清潔さを保ちやすいうえ、塩分や酸に強い。昔から使われてきた陶製のかめなどでもよい。

【毎日の手入れ】
★ぬか床の置き場所
家の中で、直射日光が当たらず、比較的涼しい場所がベスト。温度変化が少ないほうがぬか床が安定する。気温が高い夏は、冷蔵庫に入れることも可能。ただし、温度が低いぶん、漬かるまでの時間は長くかかる。

【ぬか漬けQ&A】

Q ぬかや塩分が減ってきたら?
A 漬けるうちに、徐々にぬかが減ってくる。そんなときは、生ぬか(またはいったぬか)を一つかみ程度足してよく混ぜ、全体になじませせる。また、長い時間漬けても味がうすく感じるようなら、ぬか床の中の塩分が減っている証拠。粗塩を大さじ1程度足してよく混ぜ、全体になじませる。

Q ぬか床を休ませるときは?
A ずっと漬けっぱなしにするより、たまに休ませたほうが乳酸菌が元気になる。菌の活動が弱まる冬には、しばらく休ませるのがおすすめ。その場合は、ぬか床から野菜をすべて取り出し、表面を平らにして粗塩を多めにふる。上から半紙(または厚手の紙タオル)をのせ、赤とうがらしを3本のせてふたをし、冷蔵庫へ。再開するときは、粗塩がついたぬかをすべて取り除いてから、漬けはじめる。夏に2~3日間家をあける程度なら、ふたをして冷蔵庫に入れるだけ。

きょうの料理レシピ
2015/06/10 家族で楽しむ 初夏の手仕事

このレシピをつくった人

柳原 一成

柳原 一成さん

(1942~2022)江戸料理を伝える懐石料理の宗家。東京赤坂で料理教室を主宰。全国各地の郷土料理や伝統行事食に造詣が深い。

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