リ・ド・ヴォーのタブレ
高級食材リ・ド・ヴォーと庶民的な食材スムールを組み合わせ、鮮やかな冷製パスタサラダ「タブレ」をつくります。驚き、楽しさ、美しさが盛り込まれた究極の逸品に。
写真: 今清水 隆宏
*1コ分
*野菜スープを冷ます時間、 スムールを1日おく時間は除く。
材料
(4.5×4.5×4.5cmの型4コ分)
- ・リ・ド・ヴォー 約120g
- *全体備考参照。
- ・スムール 110g
- *全体備考参照。
- 【野菜スープ】*つくりやすい分量。約400mlのスープがとれる。
- 【A】
- ・たまねぎ 80g
- ・にんじん 80g
- ・セロリ 80g
- ・にんにく 10g
- ・干ししいたけ 5g
- ・水 500ml
- 【B】
- ・セルフィーユ 5g
- ・イタリアンパセリ 5g
- 【C】
- ・ルッコラ 30g
- ・イタリアンパセリ 3g
- ・ディル 3g
- ・セルフィーユ 3g
- 【D】
- ・塩 (細かいタイプ) 二つまみ
- ・エクストラバージンオリーブ油 大さじ1
- 【E】
- ・サワークリーム 5g
- ・マヨネーズ 10g
- ・エクストラバージンオリーブ油 大さじ1
- ・レモン汁 1/2コ分
- 【F】
- ・セロリ 15g
- ・ルッコラ 15g
- ・レタス 15g
- ・あさつき 3g
- ・ハーブ 適宜
- *セルフィーユ、ディルなど好みで。
- ・こしょう 少々
- ・塩 少々
- ・強力粉 適量
- ・揚げ油
つくり方
《火の入れ具合に注意し、香り豊かなスープをつくります。》【A】はすべて薄切りにする。水とともに鍋に入れ、弱めの中火にかける。
香味野菜に、にんにくと干ししいたけを加えてうまみを足す。
10分間煮出し、火から下ろす直前に【B】を加えて火を止める。粗熱が取れたらこし、氷水でしっかり冷ます。
《冷製のパスタサラダ=タブレを鮮やかな緑色に仕上げます。》【C】は葉の部分を摘み、2のスープ100mlとミキサーで形がなくなるまで15秒間ほどかくはんする。
葉は香りがよく、繊維が残らないので、そのまま使える。
ボウルにスムールを入れ、3を加えて混ぜ合わせる。
【D】を加えて全体を混ぜ、ラップをして冷蔵庫で1日休ませる。
1日休ませることで、スムールと野菜のスープがなじみ、味が落ち着く。
冷蔵庫から5を取り出し、【E】を加えて調味する。
味をみながら調味料を加える。サラダ感覚なので、オイルっぽさ、酸味の加減に気を配る。
【F】のセロリは筋を取ってみじん切りにする。ルッコラは葉を摘み、レタス、あさつきとともに粗みじんに切る。6に加えて混ぜ合わせる。
細かく切りすぎると風味がなくなる。
《中はなめらか、外側はカリッと揚がるように、丁寧に処理をします》リ・ド・ヴォーの薄皮を取り除く。1cmほどの細切りにし、さらに1cm角程度に細かく切る。
薄皮を取り除くことで、より舌ざわりがなめらかになる。
バットに8を重ならないように並べ、全体にこしょう少々をふってから粒の細かい塩少々をふる。
こしょうは内臓特有の臭み、くせをやわらげる。塩は下味。
別のバットに強力粉適量を入れ、9を移す。まんべんなくまぶしたらざるに移し、余分な粉をしっかりはらう。
強力粉を使うことで、香ばしさが増し、カリッと仕上がる。
180℃の揚げ油に10を1コずつ重ならないように入れる。こんがり揚がったら火を止め、取り出す。
《手早く重ねて形を整え、きれいに仕上げます。》7を4等分する。皿に型をのせ、半量をスプーンなどで敷き詰める。
端のほうまで詰めて土台をつくる。スムールとリ・ド・ヴォーを交互に重ねることで、冷×温、プチプチ感×しっとり感が同時に楽しめます。異なる温度と食感が混在する驚き、色や形の美しさは、おいしさをつくる大切な要素です。
11のリ・ド・ヴォーを4等分する。半量を散らす。
全体に敷き詰めすぎないように。
7の残り半量を重ね、パレットナイフなどで軽く押さえて形を整える。
14の上からおもしなどでしっかり押さえて形をつくり、型を抜く。リ・ド・ヴォーの残り半量をのせ、好みのハーブを飾る。残り3コも同様につくる。
◆リ・ド・ヴォー
仔牛(こうし)の胸腺(きょうせん)部分。生後2~3か月のものを使用。インターネットなどで購入できる。
◆スムール
硬質小麦からつくられた粒状のもの。世界最小のパスタともいわれ、クスクスの名でも知られる。発祥地といわれる北アフリカや中東、ヨーロッパなど広い地域で、サラダや煮込み料理、つけ合わせ、デザートなどに使われる。
【プロの技法 1 】《色鮮やかに決める》
色や香りはとても繊細。熱の加えすぎは、色を濁らせ、香りがとぶ原因になるので気をつけたい。例えば、つくり方1、2で【野菜スープ】をつくるとき。煮すぎると香りがとび、スープの色も悪くなる。最後に加えるハーブも爽やかな香りづけなので決して煮ないこと。また、3では、ミキサーを回すことで熱が発生するので、決してかくはんしすぎないこと。わずかな熱でも色が濁り、変わりやすい。
【プロの技法 2 】《調味料にこだわる》
材料はもちろん、それ以上にこだわりたいのが調味料。なかでも塩は基本調味料として欠かせない。同じ種類の粒が細かいタイプと粗いタイプをそろえ、使い分ける。細かいタイプは溶けやすいので、混ぜたり、ゆでたり、味をつけるときに使う。粗いタイプは散らすことで味に濃淡がつき、塩の食感が楽しめる。店ではフランス・ブルターニュ産の海塩を使用。ミネラル分が豊富で口当たりもやさしく、味に複雑さが出る。
このレシピをつくった人
岸田 周三さん
ホテル、都内フランス料理店を経て渡仏し、フランス各地のブラッスリーから三ツ星レストランまで、さまざまな店で修業。帰国後、最年少で三ツ星を獲得するなど、新進気鋭のシェフとして常に注目を集めている。
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