東坡肉(トンポーロー)
豚肉の栄養とうまみ、コラーゲンが凝縮した東坡肉は、中国料理の「薬食同源」の精神を体現する料理。手間と時間をかけなければ味わえない、究極の一品をどうぞ。
写真: 吉田 篤史
*全量
材料
(つくりやすい分量)
- ・豚バラ肉 (塊) 1kg
- ・中国しょうゆ 大さじ1
- *カラメルを加えたコクのあるしょうゆ。なければたまりじょうゆでもよい。
- ・にんにく 6かけ
- ・しょうが 1コ
- ・ねぎ 1本
- 【A】
- ・南乳(ナンルー) 30g
- *【プロの技法1】を参照。なければこうじみそ、豆腐よう、腐乳(フールー)などでもよい。 こうじみその場合は50gにする。
- ・酒 大さじ2
- 【B】
- ・花椒(ホワジャオ) 適量
- ・八角 2コ
- ・桂皮 1~3枚
- *シナモンの中国での呼び方。
- ・赤米 30g
- *《プロの技法1》を参照。
- 【C】
- ・オイスターソース カップ1/2
- ・しょうゆ カップ1
- ・砂糖 90g
- ・ほうれんそう 1ワ
- ・香菜(シャンツァイ) 適量
- ・揚げ油
- ・サラダ油
- ・塩
- ・こしょう
- ・かたくり粉
- ・ごま油
つくり方
豚バラ肉は塊のままバットなどにのせ、蒸気の上がった蒸し器に入れて1時間蒸す。
家庭では通常の蒸し器やせいろを使ってください。蒸し器に入らない場合は、2つに切ってもいいですよ。
1を取り出し、表面に中国しょうゆを塗る。手のひらでなじませ、全体にまんべんなく行き渡らせる。
しょうゆを塗るのは、色づけするためと、次の工程で揚げたときに、しょうゆと豚肉のたんぱく質が合わさって膜をつくることによって、煮くずれしにくくするためです。
中華鍋に揚げ油を200℃に熱し、2を揚げる。上から油をかけながら揚げ、途中で上下を返して全体がこんがり色づくようにする。
高温で揚げるため、油がかなりはねます。やけどには十分に注意してください。
3をバットに上げる。流水でよく洗い、表面についた焦げや汚れをたわしでこすって落とす。
表面を柔らかくなめらかにすることで、調味料が浸透しやすくなります。
3~4cm厚さに切ってから5cm幅に切る。
にんにくは紙タオルではさみ、包丁でたたいて軽くつぶす。しょうがは皮をむき、7~8mm厚さに切ってからザク切りにする。ねぎは縦半分に切ってから2cm長さに切る。
中華鍋にサラダ油適量を強火で熱し、にんにく、しょうが、ねぎを順に入れて炒める。香りが出たら、【A】を加え、南乳をくずしながら炒める。
5の豚肉を加えてサッと炒める。
水カップ6、【B】の香辛料、赤米、【C】の調味料を加え、沸騰したら弱火にする。
フツフツした状態を保ち、約20分間煮込む。
煮込むうちに、煮汁に赤米の色が出て真っ赤になってきます。
熱いうちに10を煮汁ごとバットに移す。
肉が煮汁にヒタヒタにつかった状態にしてください。
蒸気の上がった蒸し器に入れて50分間蒸す。
ほうれんそうは根元を除き、長さを4等分にしてゆで(【プロの技法2】を参照)、器に盛る。12の肉を取り出し、ほうれんそうの上に盛り付ける。バットに残った煮汁は、ボウルで受けたざるでこし、表面に浮いた脂を取り除く。
中華鍋で13の煮汁を熱し、塩・こしょう各少々で味を調える。かたくり粉大さじ1を同量の水で溶いて加え、とろみをつける。ごま油小さじ1を回し入れる。
肉に14をかけ、香菜をのせる。
【プロの技法1】2つの赤い食材
「南乳」…豆腐にかびづけして塩漬けにしたのち、紅こうじで発酵させたもの。中国食材専門店などで購入できる。コクを出すとともに豚肉のうまみを引き出すために加える。
「赤米」…タンニン系の色素を含む米。スーパーマーケットや自然食品店などで購入できる。赤い色が出るために仕上がりが華やかになり、また、酵素の働きで肉が柔らかく仕上がる。赤米を入れるのは、陳さんが勤める店の先代料理長が考案したオリジナルの技。
【プロの技法2】野菜をシャキッと仕上げるゆで方
1 熱湯に塩一つまみとサラダ油大さじ2を入れてから野菜を入れる。湯の温度が高くなるので短時間で火が通る。
2 ざるに上げて水けをきったら、不織布タイプの紙タオルではさんで手で押さえ、しっかりと水けを除く。
このレシピをつくった人
陳 龍誠さん
老舗ホテル「ホテルオークラ東京」の中国料理店で総料理長を務める。伝統の技法を大切に受け継ぎながら、新たな味を求めて日々創意工夫を重ねている。
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