管理栄養士 藤井恵さんインタビュー(1)~夏バテや体調の悪いときの食事
管理栄養士の藤井恵さんに、健康的な食生活についてお話をうかがいました。2回に渡ってインタビューの内容をお届けします。第1回は、夏バテや体調の悪いときの食事についてです。
夏バテをしないためには?
暑くて体調管理も大変ですね。なんだか具合が悪いな、体調良くないなと感じたときは、どんなものを食べればよいでしょうか?
藤井
夏バテにならない工夫は必要で、なってからというより、なる前からの予防が大事です。特にたんぱく質をしっかりとる。ビタミン、ミネラル類、水分をとっておくのが大切だと思います。
実は私、夏バテしたことがないんですよ。夏でもよく食べるし、食欲も落ちないんです(笑)
心がけていることといえば、日頃からたんぱく質をしっかりとる、よく噛むことですかね。
よく噛むと口のまわりの筋肉も鍛えられます。よく食べる人って元気ですよね。食が細くなりだんだん元気がなくなると、口が開いてきてしまい、菌も入ってしまいます。そうならないように、食べること、噛むことを大事にしています。
たんぱく質は、どのようにとったらよいですか?
藤井
たんぱく質の1日の摂取推奨量は年齢によって違いますが、だいたい1食で20gを目安にすると良いと思います。3食、肉、魚だけでとるのはなかなか難しいので、私は、動物性と植物性のたんぱく質を組み合わせるようにしています。
最近意識しているのは、さば缶や卵、豆腐や大豆、大豆製品をストックしておいて、いろいろな料理に加えること。みそ汁も、豆腐だけではなくて、さば缶など合わせてダブルたんぱく質のみそ汁にしたりしています。無理のないようにプラスしていますが、やってみると意外と大変です(笑)
もし夏バテしてしまったら、消化の良いもので、しっかりたんぱく質を摂ってください。ステーキ肉よりは薄切り肉、薄切り肉よりはひき肉の方がたんぱく質が吸収されやすく、脂肪の少ないものがおすすめです。例えば、ひき肉を鍋に入れて酒で煎りつけ、水を加えただけでチキンスープやポークスープになります。そこに夏野菜やきのこ類、海藻をたっぷり加えれば、ビタミンとたんぱく質がとれるスープになりますよ。
冷房で足元や腸内も冷えているので、温かいものをとって体や腸を温めるのがいいと思いますが、冷たいスープが飲みやすければミルクスープもおすすめです。
藤井さんのおすすめスープ「ささ身と夏野菜のごまミルクスープ」のレシピはこちら
ビタミンやミネラルを取るには、野菜や果物も必要ですよね。やはり食費がかかりますね。
藤井
そうなんですよね。意識しだすと食費はかかります。でも健康のために、できれば頑張りたいですね。
ビタミンCを摂るには、旬の色の濃い野菜やキウイがおすすめです。食物繊維もとれます。キウイは、グリーンとゴールデン、最近はルビーレッドと赤いものも出ていますが、ゴールデンやレッドがビタミン量が多いようです。朝食べるのがおすすめです。
更年期を乗り越える
藤井さんは更年期で悩まされた時期があったそうですね。
藤井
それが更年期の症状だったのか、確証がありませんが、手の湿疹に悩まされた時期がありました。仕事柄、テレビなどで手が映るので、とても悩み、精神的に追い込まれたこともありました。また歯の食いしばりがひどくて、神経のある歯を2本割ってしまったんです。その時、歯科医に「今の仕事辞められないの?」と言われました。でも当時それは絶対無理で。「仕事を休む、やめるときは死ぬ時だ」と思っていたので(笑)、休んじゃいけないと。
まじめな人ほど、更年期の症状が出やすいそうです。なので、切り替えが必要で、その時にレギュラーでずっと続けていたテレビの仕事を辞めてみたら、すっと気持ちが楽になりました。今は楽しみながら仕事ができているので、良かったなと思います。
そういった年齢の節目などで、食事に変化はありましたか?
藤井
30代の時は野菜が足りないと思い、野菜を増やし、40代の時は、きのこ、海藻、発酵食品を、50代になると、大豆と大豆製品をさらに加えました。大豆イソフラボンが更年期には必要ですね。
最近の私のお気に入りは、台湾の豆乳スープを和風にアレンジした簡単スープです。
どんぶりに酢としょうゆを少し入れて、乾燥小エビと小ねぎをたっぷり入れ、豆乳をあたためて入れます。大豆固形分が10%以上含まれる豆乳だと、少し置いておくと豆腐状になるんです。それがすごくおいしくて。小えびでカルシウムもとれ、豆乳でもたんぱく質、小ねぎでβカロテンもとれます。流し込める簡単スープはおすすめですよ。
藤井さん、ありがとうございました。
次回は、藤井さんの「美肌と減塩のコツ」をお送りします。
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