「頑張り過ぎずに」藤井恵さん
15周年スペシャルインタビュー企画。第4回は、管理栄養士で料理研究家の藤井恵さん(以下=藤井)のスペシャルインタビューをお届けします。
この15年を振り返り、ご自身の生活の中で、料理に変化はありましたか?
藤井15年前は、娘が11歳と15歳で、子どものためにしっかり料理をつくっていた頃です。でも日々の生活に追われ、時間に追われてとにかく忙しくて・・・時短料理で、ご飯によく合うおかずばかりつくっていました。また「野菜が足りないといけない」と思い、野菜を一生懸命食べさせていました。今、思い返すと、他の必要な栄養素が足りていなかったかも・・・と反省です。
自分自身は、年齢とともに体の不調を感じることが増えてきて、その度に食生活を見直してきました。結果、きのこや海藻、大豆製品や発酵食品を意識して組み合わせて摂るようになりました。
その頃には、娘たちも大学生や社会人になっていたので、一緒に食事ができる朝ごはんに、いろいろな食材を組み合わせて家族みんなで食べるようにしていました。後からわかったのですが、これらの食材は更年期にもよいものですし、子どもにとっても必要な栄養がバランス良く含まれています。これから先、娘たちが子どもを授かったとしたら、同じような食事をしてくれたらよいと思っています。
今は、子どもたちが独立して夫婦2人の生活になり、健康を意識した塩分控えめの料理を毎日食べることを、より大切にしています。
「みんなのきょうの料理」で特に人気がある藤井さんのレシピは、「照りマヨチキン」です。2016年の放送からずっとナンバーワンの人気を博しています。その秘密はどこにあると思いますか?
藤井このレシピが人気なのは、時短レシピだからかな。時短にするコツは、切る物を少なく、調味料の数も少なく、道具も少なくすること。また同時進行できて、洗い物も少なくするのもポイントです。
この料理は、鶏肉に小麦粉をまぶすことで、むね肉が堅くなりにくいし、調味料やマヨネーズとのなじみもよくしています。
わたしは、照り焼きとマヨネーズの味が好きなんです。(笑) 子どもたちも喜んで食べてくれていたし。
料理は、つくっている人がおいしそうと思えることが大切だと思っています。手順が多くて「面倒だな、やだな」と思わないよう、レンジにかけるだけ、炒めるだけでもこんなにおいしいと思ってもらえる。そんなレシピを考えて、それが誰かの手助けになることを願っています。
藤井今までは時間に追われていて、手早くできる料理が多かったので、これからはゆったり料理をしていきたいと思っています。
たとえば最近のお気に入りは、韓国料理の「ズッキーニのジョン」。粉と卵をまぶしてフライパンで焼くだけの料理なのですが、ズッキーニを片面7~8分間かけてゆっくり焼くと、素材の甘みが出て水分も残り、ジューシーでなんとも言えないおいしい料理になります。
手をかけることでおいしくなる料理がたくさんあると思うので、ちょっと休ませるとか、じっくり焼くとか、そんなちょっとしたコツも発信していきたいですね。
時間に余裕がなくて、知ってはいたけどできなかったことを改めて原点に立ち戻って確認しながら料理をしたい。ちょうど今が、転機の時期だと思っています。
藤井自分がこの15年でなにが大きく変わったか考えると、頑張り過ぎることをやめようと思いました。(笑)
先日、婦人科医と対談したときに、先生に「自分ファーストでいい」と言われました。それって、今まであまり考えもしなかったことなんです。
これまでは、とりあえず自分のことは置いておいて、やらなければならないことが多かったけれど、これからは自分の思いを優先してみようかな、と思っています。
みなさんも、「頑張り過ぎないで」と思います。そうすると、いろんなことが楽しくなる。やさしくなれる。
料理も、人のためというより自分が食べたいものをつくる時があってもいいんじゃないでしょうか。そうすれば料理するのも楽しくなる。
今後、わたしをとりまく環境が変わっていく可能性もありますが、それはその時考えればいいこと。今は、夫も元気、自分も元気なのでこの時期を楽しんでいます。
藤井恵さん、これからも健康に良い、おいしい料理を楽しみにしています。
ありがとうございました。
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