筑前煮
火の通りを考えて時間差をつけて煮る、このひと手間が、具材の個性を最大限に引き出します。
写真: 鈴木 雅也
*干ししいたけを戻す時間は除く。
材料
(4人分)
- ・干ししいたけ (小) 12枚
- ・れんこん 150g
- ・ゆでたけのこ 150g
- ・ごぼう 100g
- ・こんにゃく 1枚
- ・にんじん 150g
- ・鶏もも肉 1枚(300g)
- ・スナップえんどう 100g
- ・昆布の水だし カップ3
- *昆布5cmを水カップ3に30分間浸したもの。
- ・針しょうが 適宜
- ・塩
- ・ごま油 大さじ2
- *あれば白
- ・砂糖 大さじ5
- ・しょうゆ
つくり方
干ししいたけはたっぷりの水で戻し、軸を切る。れんこんは皮をむき、大きめの乱切りにしてサッと水に通す。ゆでたけのこは乱切りにする。ごぼうは皮をこそげ取り、斜めに回し切りする。こんにゃくはスプーンで一口大にちぎる。
にんじんは皮をむき、乱切りにする。鶏もも肉は筋を断つようにして大きめの一口大に切る。
スナップえんどうは筋を取り、塩ゆでして長さを半分に切る。
大きめの片手鍋にごま油大さじ2を熱し、まず鶏もも肉、にんじんをいためる。肉の表面が白くなったら、にんじんと一緒に取り出す。
≪プロのコツ1≫
具材の個性を考えて時間差をつけて煮る。煮続けるとくずれるにんじん、堅くなる鶏肉は先にいためて取り出す。鶏肉のうまみが出た汁にだしとほかの野菜類を加えて煮て、味をつける前に戻し入れる。この時間差が、個々の具材の持ち味を生かすコツ。
同じ鍋に1の野菜とこんにゃくを入れてざっといため、昆布の水だしを加えて中火にかける。
水だしの昆布から出たヨード分にアクが付着して、すくいやすくなる。
4のにんじんと鶏肉を戻し入れ、砂糖大さじ5、しょうゆ大さじ3を加える。アクを取って落としぶたをし、そのまま中火で5分間煮る。火を止めて、しばらく冷ます。
≪プロのコツ2≫
味付け8割、最後に決める。しょうゆは2度に分けて加える。最初から全量を入れると色が黒くなり、香りもとぶ。控えめに味付けして煮、火を止める前にもう一度加える。
再度火にかけ、沸騰する直前で火を止め、しばらく冷ます。
もう一度火にかけ、しょうゆ大さじ1を回し入れる。3を加え、鍋を揺すって材料を返しながら、汁けがとぶまでいり煮にする。
≪プロのコツ3≫
仕上げの鍋返しで具を輝かせる。煮汁の中で具材が泳いでいるようでは筑前煮にあらず。最後の煮汁をとばして照り出し、つやよく仕上げる。
彩りよく器に盛り、針しょうがを天盛りにする。
このレシピをつくった人
田村 隆さん
(1957~2020) 東京・築地にある日本料理店の三代目。日本各地の食材に精通し、個々の持ち味と特性を調和させた料理をこころがけている。
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