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きょうの料理レシピ

ふっくらえびしんじょ椀

味わい深いえびしんじょをつくり、極上のだしと一緒に味わいます。

ふっくらえびしんじょ椀

写真: 高橋 栄一

エネルギー /270 kcal

*1人分

調理時間 /150分

*昆布を水に浸す時間、たらの水けをとる時間は除く。

材料

(4人分)

【だし】*8人分できる。
・水 2リットル
*できれば、アルカリ性の強いしっかりした味の軟水がよい。
・昆布 (15cm四方) 2枚
・かつお節 (塊) 50g
【えびしんじょ】
・さいまきえび (有頭) 10匹(正味110g)
*小型のくるまえび。
【卵の素(もと)】
・卵黄 1コ分
・塩 小さじ1/6(1g)
・サラダ油 80g
【すり身生地】
・たら (切り身) 100g
・塩 小さじ1/6(1g)
・つくね芋 小さじ1(5g)
・卵白 小さじ1/2(3g)
・くず粉 大さじ1(6g)
*すり鉢とすりこ木ですり、ふるっておく。
・みりん 小さじ1弱(5g)
・ねぎ (白い部分) 適量
・さやいんげん 4本
・まつたけ 50g
・柚子(ゆず)の皮 (ごく小さいあられ切り) 適量
・塩
・うす口しょうゆ

つくり方

【だし】をとり始め、 具材を用意する
1

鍋に水と昆布を入れ、1~2時間浸す。たらは紙タオルで包んで30分間~1時間おく。

! ポイント

丁寧に、ゆっくりと昆布のうまみを引き出します。

2

鍋を火にかけて60℃にし、温度を保ちながら1時間半~2時間煮出す。

! ポイント

ゆっくりと煮出すことで、雑味のない【だし】がとれる。また、60℃は見た目では分からないので、温度計ではかり、確かめること。

3

ねぎは3cm長さに切り、縦に切り目を入れて芯を除く。せん切りにして3~5分間水にさらしてから水けをきる(白髪ねぎ)。さやいんげんは筋を取り、サッと塩ゆでして水にとって水けをきる。まつたけは紙タオルをぬらして汚れをふき、石づきを削る。

【えびしんじょ】をつくる
4

【卵の素】をつくる。ボウルに卵黄と塩を泡立て器で合わせる。サラダ油を少量ずつ加えながら、一定のリズムで分離しないように混ぜる。冷蔵庫で冷やす。

! ポイント

逆さまにしても落ちない程度の堅さが目安。サラダ油を少量ずつ分けて加え、そのつどマヨネーズ状になるまでよく混ぜる。しっかりした【卵の素】をつくることで、【えびしんじょ】がだれない。さらに冷蔵庫で冷やすと、成形しやすい。

5

えびは頭と背ワタを取り、殻をむいてブツ切りにする。

! ポイント

椀の主役は椀ダネ。存在感のある椀ダネをつくります。

6

【すり身生地】をつくる。たらは骨と皮を除いてから、1cm角に切ってフードプロセッサーに入れ、形がなくなるまでかくはんし、塩を加えて粘りが出るまでさらにかくはんする。

! ポイント

フードプロセッサーでかくはんすると、きめ細かな生地になり、なめらかな舌ざわりとフワッとした食感に。

7

【すり身生地】の残りの材料を順に入れ、そのつどかくはんし、全体がなめらかになるまでさらにかくはんする。最後に4の【卵の素】を加えてかくはんする。

8

バットにオーブン用の紙を敷く。7をボウルに移し5のえびを入れて手で混ぜ、4等分にする。空気を抜きながら丸形に成形しバットに置く。

! ポイント

両手で何度か行き来させながら空気を抜く。バットに置いたら、指を使って下から上に持ち上げる。

9

蒸気の上がった蒸し器に入れる。ふたを少しずらして蒸気の逃げ道をつくり、中火で15分間蒸す。

【だし】を仕上げる
10

かつお節を蒸気の上がった蒸し器で中火で5分間蒸し、やや厚めに削る。

! ポイント

乾燥して堅いままでは薄くしか削れないので、蒸してから削る。

11

2の昆布を取り出して85~90℃に上げ、10のかつお節を入れ、アクを取る。1~2分間煮出してから、ボウルにざるを重ねて紙タオルを敷き、さらにこし器を重ねてこす。

! ポイント

こす前に色を確認し、よく【だし】が出ているなと思ったら手早く、もう少し出たほうがいいなと思ったら、ゆっくりとこす。しんじょが蒸し上がったときに、【だし】が仕上がっているのが理想です。

椀(わん)を仕上げる
12

11の【だし】カップ1+1/4を小鍋に取り分け、塩少々、うす口しょうゆ小さじ1/2を加えて火にかける。3のまつたけは縦半分に包丁を入れ、さらに手で半分に裂いて、長ければ半分に切る。さやいんげんは、先をつなげたまま縦に切り目を入れる。

13

12が沸騰したらまつたけを入れ、火が通ったらさやいんげんを加えて温める。

14

11の【だし】カップ3を鍋に取り分け、塩小さじ1/4を加える。味をみて、さらに塩少々とうす口しょうゆ大さじ1/2で味を調える。

15

椀に【えびしんじょ】とまつたけを盛る。14の汁(吸い地)をはり、さやいんげん、白髪ねぎ、柚子(ゆず)の皮をあしらう。

! ポイント

椀ダネに吸い地をはり、季節のよそおいを添えて華やかに。

全体備考

【プロの技法1】
◆椀ダネに応じただしの材料◆
奥田さんは、椀ダネに合わせて、だしの材料の水と昆布を吟味している。えびしんじょのようにボリュームのある椀ダネのときは、だしもそれを支えられるように、しっかりとした味の水と、濃いうまみの出る羅臼(らうす)昆布を使う。一方、はものように繊細な椀ダネのときは、まろやかな水と真昆布でだしをとる。また、かつお節は、脂が少なくすっきりとした味のだしがとれる背側を使う。

【プロの技法2】
◆「卵の素」と「蒸す」で椀ダネを主役に◆
「しんじょ」は、卵白と山芋を使うことが多いが、今回は「卵の素」でコクと濃厚なうまみを加え、ふっくらとした食感とともに椀ダネの存在感を出す。また、しんじょ生地をだしで煮るのではなく蒸すことで、余分な水分を吸わず、椀ダネとしての味わいも際立つ。

【プロの技法3】
◆かつお節はやや厚く削る◆
薄く削ったかつお節を使うと雑味なども出やすくなるが、やや厚く削ったものなら、質のよいうまみをとることができる。また重みで自然に沈むので、沈むまで待つ時間が少なくてすむ。

◎同じ種類の昆布やかつお節でもだしの味は毎回微妙に変わるので、必ず味をみて、煮出す時間を調整します。

きょうの料理レシピ
2014/10/16 谷原章介のザ・男の食彩

このレシピをつくった人

奥田 透

奥田 透さん

東京・銀座を拠点に、パリにも展開する日本料理店の店主。その実力は国内外で高く評価され、正統派の日本料理が味わえる店として、訪れる人が絶えない。

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