子どもの栄養を考えた献立のコツ【2】〜栄養士・ほりえさわこさん
料理研究家で栄養士のほりえさわこさんに、家族の食卓と栄養についてお聞きしました。インタビューの内容を2回に渡りお届けします。第2回は献立を考えるコツを伺いました。
献立を考えるときには
子どもの栄養を考えた献立を考えるときのポイントや意識していることはありますか?
さわこ
子どもに媚びないことでしょうか。「何食べたい?」とつい聞きたくなってしまうかもしれませんが、子どもなんてハンバーグかパスタしか言わない…。そこで副菜まで言える子どもなんていないですよね。
小学生から中学生くらいまでは、親がコントロールしてよいと思います。子どもには献立を決める権限はない(笑)。何食べたい?と聞いてつくるのは誕生日だけなんですが、食べたいものを自分でつくるのは、喜んでOKにしています。
子どもの得意じゃないもの、苦手なものも知っているけど、わたしはお構いなしで出します。子どもたちも諦めてます。
苦手なものでも1回は食べるルールを小さい頃から設けているんです。この前のトマトは酸っぱかったけど、今日のトマトは、違っておいしいかもしれない。今日のきんぴら、今日のお刺身など、必ず1回だけ食べてみよう、と促しています。
とはいえ、ご飯の時間が苦痛になってはいけないから、そこは、一口でもチャレンジしたらOKということで!
献立を考えるときは「昨日何食べたかな」と考えて、から揚げだったら、今日は和えるか煮るか、違う調理法にしようか、と考える。
副菜も違う調理法で、味を変えればいい。同じ食材でも、甘い、辛い、に変えるなど。1回の食卓の中で同じ調理法や味にしないのがコツです。
和洋中のバランスも考えれば、バリエーションが増えて献立に変化がつきます。なすだって何万通りくらいのレシピがある。にんじんだって、きんぴら、ナムルにしたり、ドレッシングで食べたり。またピーラーで切ってもいいし、乱切りにしてもいい。切り方ひとつでもあそべますよ。
さわこさんのおすすめレシピ「なすのサラダ」のレシピはこちら
さわこ
また大人数の食事をつくる時は、品数を増やすといいですよ。フライパンの大きさは決まっていて、料理ができる量も決まってくるので、ひとつの料理の分量を増やすのではなく、メニューを変えてつくるのが良いと思います。
健康に気をつけて実践していること
さわこさんご自身、健康に気をつけて実践していることはありますか?
さわこ
わたしは、夜更かしをしても大丈夫なタイプで、睡眠時間が少なくても頑張れるのですが、体調が悪いなと思ったときは、あったかいものを食べて早めに寝る、というのを心掛けています。寝れば、治る!と思っているの(笑)。寝たら、前日のことは忘れられる。いやなこともすっかり忘れてリセットされます。
昨年50歳になって、合気道やバレーボールをはじめたのですが、1年間続いてます。合気道は全然できないところが楽しいみたい。型も覚えられないし脳内パニックで、黙ってやるところが私には向いてない、しゃべらない苦行です(笑)。
でも一緒にやっている方たちが高齢の方も多く、あの年になってそんなに動けたらすばらしいな、と思って頑張ってます。大人になって転がって立ち上がるなんてことなかなかないですよね。
ほかにも、テニスやウォーキングやバレトン(バレエエクササイズの入った筋トレ)などいろいろやっています。若い頃は、運動なんてまったく無縁でした。部活も帰宅部だったけど、50歳になって部活動を始めた感じ(笑)。楽しいから、疲れたのも忘れちゃう。
なぜ、新しいことに挑戦したり、そんなにがんばれるのでしょうか?
さわこ
恥ずかしいと思うことをやめたんです。かっこつけるのもやめた。知らないことは知らないし、楽しいものは楽しい。そう思ったらすべてが楽しくなりました。プライドという言葉は、もう見当たらない(笑)。すごく楽、ストレスフリーになっていると思います。
でも、母がいろいろ忘れたり、何度も聞くことが多くなってそれがストレスかも(笑)。
みなさんへのメッセージ
みなさんにメッセージをお願いします
さわこ
子どもたちがお休みの時など「三食つくらなきゃならなくて、すごく大変」ってことがあるかもしれませんが、自分一人でやらなくていいと思いますよ。
子どもにだってやらせればいいんです。中高生なら何でも出来ますよ。小学生だって危なくないことは何でもできます。見守らなければならないことはあるけど、そこは見守りながら。
そこらへんで寝っ転がっている人には、もやしの根をとらせればいいし(笑)、みんなでやればいい。また、お父さんやおじいちゃんが活躍する日をつくってもいいですよね。
誰かが一人で背負うことはないと思います。
我が家では、子どももお留守番で料理をつくったら、おこづかいをプラスするとか、そんな楽しみも加えています。
やりたいと言ってくれたときに、上手に誘導してください。反抗期になるとやらなくなるので、それまでの成功体験が大事。
料理のように、こんなに楽しいイベント性のある家事はないと思います。つくったものをみんなで食べられるし、ほめてもらえる。うまくできると、自己肯定感が上がります。
楽しんで考えて、家族中を巻き込んだら良いと思います。
ほりえさわこさん、ありがとうございました。