とうがんと鶏の葛ひき
夏に収穫して冬までみずみずしさを保つことから「冬瓜(とうがん)」と呼ばれる野菜ですが、京都では、暑い時季に葛ひき(とろみをつけた煮物や汁物)にしていただくのが定番。とうがんの水分とじっくり含ませた上品な煮汁が、体のすみずみに行き渡る養生おかず。
写真: 鍋島 徳恭
*1人分
*1人分
材料
(2人分)
- ・とうがん 400g(正味250g)
- ・鶏もも肉 120g
- ・だし カップ2
- 【A】
- ・みりん 大さじ2
- ・うす口しょうゆ 大さじ1
- ・塩 1つまみ
- 【B】
- ・かたくり粉 大さじ1
- ・だし 大さじ1
- ・しょうが (すりおろす) 適量
- ・酒 少々
つくり方
とうがんは種とワタを除き、ピーラーで薄めに皮をむいて3~3.5cm幅に切る。皮側に斜めに格子状の切り目を入れ、3~3.5cm角に切る。鶏肉は余分な脂肪を除いて4等分に切り、酒をまぶす。
皮側に細かく切り目を入れておくと食べやすく、味もよくしみる。
鍋にだしと鶏肉を加えて火にかける。煮立ったらアクを取り、とうがんを加えて中火で煮る。
鶏肉に火が通ったら取り出し、とうがんが柔らかくなるまで煮る。
肉に火が通りすぎないように途中で取り出し、うまみの出た煮汁でとうがんを柔らかく煮る。
【A】の調味料を加え、さらに5~6分間煮て味を含ませ、鶏肉を戻す。【B】のかたくり粉をだしで溶いて回し入れ、とろみがついたら器に盛ってしょうがをのせる。
かたくり粉は水ではなくだしで溶いて加えると、煮汁の味を損なわない。
【しょうが】
生で食べると、体にこもった熱を下げる働きが。
【とうがん】
水分補給に役立つとうがんを温かい煮物で。
◆覚えておきたい 葛、しょうがの使い方◆
ここでは、手に入りやすいかたくり粉を使っているが、「葛ひき」といえば本来は、葛粉でとろみをつけるもの。葛はマメ科のつる性の植物で、その根からとれるでんぷんを精製したものが葛粉。血行をよくしたり発汗を促すなどの作用があるといわれ、古くから薬にも使われている。また、しょうがは加熱せず生でとると体の深部の熱を下げる働きがあるので、涼感を得たいときは、すりおろして添えるなどの食べ方が理にかなっている。
このレシピをつくった人
後藤 加寿子さん
茶道の家元の家に生まれる。日本料理の奥深い知識に裏打ちされた、シンプルかつ現代的な和食のレシピを提案。食育にも力を入れ、和食文化国民会議副会長を務める。
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