「今日の食は、5年後の身体のために」パン・ウェイさん
15周年スペシャルインタビュー企画。第2回は、薬膳料理研究家パン・ウェイさん(以下=パン)のスペシャルインタビューをお届けします。
パンさんは薬膳料理研究家としてのお仕事を始められて何年になりましたか?そのきっかけを教えてください。
パン何年だろう、実は覚えていないんです。(笑) たぶん20年くらいかな。料理の仕事をするとは思っていなかったのですが、つくることは大好きで、自宅で友人に料理をよくふるまっていました。食べた人たちから「つくり方を教えて」と言われ、「えー私が?」と返していたのですが、そのうち「受講料、お支払いします!」と言われ、「じゃあ教えるか」と覚悟を決めた感じで(笑) 。それから口コミで広がり、気づいたら毎週土日が埋まっていました。
その後、代々木公園に教室を構えて今年で11年です。
パンさんは中国家庭薬膳料理をご提案していますが、料理づくりで大切にしていることは何ですか?
パン「料理で一番大切なのはおいしいこと!」(笑)私のモットーは、料理を教えてくれた祖母が昔から言っていたことですが「今日のご飯は、3年後、5年後の自分のためにきちんと食べる」ことなの。だから、おいしいのが大事。おいしければ、毎日きちんと食べられますよね。
中国では昔から「医食同源」という考え方があります。食事に注意することが病気を予防する策となります。大切なのは、身体のことを考えてまずはバランスよく食べること。さらに、四季やその日の体調によっても選ぶ食材が違ってくるので、きちんと考えて選ぶことが必要です。
おいしくつくれて、元気になると人気のパンさんの料理。「季節と身体」をテーマに、旬の食材を使った身体に優しい家庭薬膳を提案していらっしゃいます。今の時季、気をつけるとよいことはありますか?
パン冷えは万病の元なので、寒い時期は身体を温めるために何を食べるかを考えるのが重要です。ねぎ、にんにく、しょうががいいですね。 たんぱく質もしっかり摂ること。
中国料理の薬膳、五味五色の考え方だと、今の時季は、腎臓をいたわる黒い色と乾燥を防ぐ白い色のものを食べるとよいと言われています。黒は、昆布、わかめなどの海産物。白は、白菜、大根、かぶなど、根菜類がおすすめです。
「みんなのきょうの料理」で特に人気があるパンさんのレシピは、「簡単チャーシュー」です。2006年の放送から、ずっと人気を博しています。
パン「簡単チャーシュー」は祖母のレシピなの。家庭でつくれる「豚肉のオイスターソースたれ漬け焼き」ですね。とにかく簡単!たれで野菜もたくさん食べられるし、肉汁も応用がきくから便利。焼きめしにしたり、豆腐の含め煮に使ったり。
本格的なチャーシューとはつくり方が違うので、チャーシューと言うと中華の権威には怒られるかもしれない(笑)。
パンオイスタソースは、とても便利な調味料で大好き!食材をオイスターソースに漬けるだけでおいしくなるの。わたしの故郷、内陸の北京には子どものころ新鮮な海の幸が無かったので、オイスターソースは、海の味を感じられる貴重な調味料だったんです。
肉に限らず、この時季に食べたいねぎ、しょうが、にんにくをせん切りにして、オイスターソースであえておくのもおすすめ!副菜としても、すぐに食べられて、すっごくおいしいです!
パン展望⁉いっぱいある。120歳まで生きないと!(笑) くいしんぼうだから、世の中のおいしいものを食べつくしたい!だから、元気で長生きするために、季節と身体を意識してご飯を食べます!
それから、みなさん、とても忙しいので、簡単におうちでつくれる、安全でやさしい役立つレシピを考えています。食品会社さんと一緒に添加物を使わない食品も開発しています。簡単にご飯がつくれると、心に余裕が生まれるから。来年は、身体に安全な商品をネット販売してたくさんの人に届けたいです。
パン子育て中の方も多いと思いますが、まずは親が明るく元気でいること!親の存在は太陽で、子どもはひまわり。ひまわりは太陽に向かって育つでしょ。わたしもずっと太陽の方を見てる、(笑)と小さいころ言われました。
そのためには食べること。余裕があったら、1日5つの色、赤(肉やトマト)、緑(小松菜やブロッコリー)、黄(納豆やレモン)、黒(わかめやごま)、白(れんこん、大根)などの食材を選ぶことを意識してみてください。何十品目も食べるのは大変ですけど、5色なら意外と簡単ですよ!
身体に気を付けて、おいしい料理をつくって、家族の健康を守ってほしいです。
パン・ウェイさん、これからも身体に優しいおいしい料理を楽しみにしています。
ありがとうございました。
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