2024/07/02

小田真規子さんインタビュー~健康長寿の第一歩 食生活改善の秘けつ(1)

2024年4月から厚生労働省による「健康日本21(第三次)*」がスタート。「きょうの料理」の番組でも「きょうの健康」とコラボして、健康長寿のための食生活改善の企画が紹介されました。
そこで、番組に出演した栄養士の小田真規子さんに食生活改善の秘けつをうかがいました。インタビューの内容を2回に渡りお届けします。

小田真規子

減塩をかなえるレシピって?

小田さんには番組で、食生活改善のために「減塩」と「野菜たっぷり」をかなえるレシピを教えていただきました。レシピを考えるとき、どんなことに着目されましたか?

小田
「健康日本21(第三次)」は、たくさんの人たちが健康について知識を深めましょうという運動だと、私はとらえているんです。食生活の再見直しですね。
いざ食事を見直そうとすると、塩を「減らす」こと、野菜を「多くとる」ことを毎日続けるのは、「難しい」「できない」と思ってしまう人が多いのではないかと思います。そこで私は、別のアプローチからレシピを考えてみました。
例えば、減塩は、塩分量を減らすというより、「素材のおいしさに気づく」こと。たっぷり野菜をとるのは、やみくもに量を増やすというより「野菜の香りや色、うまみに気がついた上で量を取る」という感覚です。

番組でご紹介した減塩料理「フライパン肉じゃが」のメインの素材はじゃがいもです。
じゃがいもは、素材の中でもうまみが濃い野菜なので、まずその濃さを引き出すことを考えました。それには、ゆでるより焼いた方が香りが立ってうまみが引き出されます。焼いてから煮ることで、そのうまみが煮汁に出て、しょうゆの量を減らせるんです。また、柔らかい甘みのみりんより、ガツンとしたインパクトのある砂糖を使うことで調味料の量を減らせました。さらに、ぎりぎりの水分の煮汁で煮ることで塩分をしっかり感じることができます。

肉じゃが
小田さんの「フライパン肉じゃが」のレシピはこちら

小田
同じレシピで、じゃがいもをさつまいもや里芋や長芋に変えても、たまねぎをねぎに変えても、豚肉を牛肉やひき肉にしてもいいです。たまねぎをセロリに変えれば、洋風な味わいになります。素材を変えるだけで、減塩レシピのレパートリーが増えますね。
減塩のポイントは、しょうゆやみそなどに入っている塩分量を把握すること。
しょうゆやみそには甘みやうまみがあるので、多く使ってしまいがちです。
この中にどれだけの塩分があるかを常に思い、塩を使っているという感覚を持つことが大切です。

野菜・果物を目標量食べるには

野菜・果物の摂取目標量は、1日あたり、野菜350g、果物は200gとあり思った以上に多い分量です。たくさんの量を食べる工夫はありますか?

小田
長く続けるコツとして、野菜は緑黄色野菜を中心にすると摂りやすいと思います。ブロッコリー、にんじん、パプリカ、かぼちゃ、にら、スナップえんどうなど、色が濃くて調理工程の少ないものがいいですね。
ゆでるだけ、レンジにかけるだけで食べられるものが、手間いらずでおすすめです。
緑黄色野菜は、βカロテン、ビタミンC、食物繊維も多く、重さの割にカサも少ないので、それらを先にとって、その後、きゅうりやレタスなどを足すようにすると目標値をクリアしやすいです。

ブロッコリー
小田さんの「ブロッコリーと鶏肉の塩レモン炒め」のレシピはこちら

つくっておくとよい、おすすめの野菜の副菜はありますか?

小田
焼き野菜がおすすめです。きんぴらのように細く切るのは面倒なので、輪切りや角切りなど大きく切って、転がしながら焼きつけて火を通し、お好みのドレッシングやぽん酢をかけて冷蔵庫に保存しておくとよいですよ。

果物も1日あたり200gをとるのは難しいですよね。

小田
それには買いやすい果物を決めておくのがおすすめです。いろんなものを買うのではなく、自分の好きな果物を2~3種決めておいてその中から買い置きする。飽きたら違うものを買う。例えば、バナナやりんご、キウイなどは比較的価格が安定しているのでそれをベースにし、合間にいちごを買うなどすれば良いと思います。ある程度、買い物のパターンを決めておくと、それが習慣になります。

小田さん、ありがとうございました。
次回も健康長寿のための食生活改善の秘けつを伺います。

*「健康日本21(第三次)」は、厚生労働省が2000年度に開始した「21世紀における国民健康づくり運動」のこと。健康寿命を延ばすために食事や運動などの目標値を定め、計画的な取り組みが行われている。

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