黒豆
味よし、姿よしの極意は、柔らかく煮た豆を薄い砂糖みつに浸すことです。漆黒の宝石のような黒豆を召し上がれ。
写真: 佐伯 義勝
*全量
材料
(つくりやすい分量)
- ・黒豆 (乾) カップ3
- ・重曹 小さじ1
- *重炭酸ソーダ。膨張剤として用いられ、煮豆を短時間で柔らかくする効果がある。
- 【みつ】
- ・砂糖 カップ3
- ・水 カップ2
- ・ちょろぎ 適宜
- ・凍みこんにゃく 適宜
つくり方
黒豆は洗って鉄鍋に入れ、分量の重曹と熱湯カップ8を加え、一晩おく。
鉄鍋がなければ、煮るときにさびくぎを加えるとよい。
1の鍋をそのまま強火にかけ、沸騰したらアクをすくう。弱火にして約6時間煮る。途中、水を足して豆が隠れるほどの水加減を保ち、アクが出たらすくう。
指で軽く押さえてつぶれるくらいになったら、ヒタヒタ程度まで煮汁を煮詰めて色を戻し、火を止めて人肌になるまでそのままおく。
煮汁は濃くなったり薄くなったりのリズムを緩やかに繰り返している。豆が柔らかくなったら最後に軽く煮詰め、豆の色を濃く仕上げるのがコツ。
別の鍋に【みつ】の材料を入れて火にかけ、砂糖を溶かし、人肌になるまで冷ます。
3の鍋に徐々にぬるま湯を加えて、豆の皮を破らないよう注意して重曹の入った煮汁を洗い流す。破れた豆は取り除く。
汁が澄むまでぬるま湯を注ぎ、重曹の煮汁とすべて入れ替える。湯が直接当たって皮が破れないよう、手のひらで受けるとよい。ここで破れた豆は取り除く。
5の豆の水けをきって4の鍋に入れる。空気にふれないよう紙ぶたをして、弱火で3~4分間煮て、一晩おく。
みつと豆を合わせる時、両者に温度差があるとしわがよるので注意(みつが濃すぎてもしわのもとに)。合わせたら煮立たせないよう加熱し、火から下ろしてそのまま一晩おく。
黒豆を取り出し、【みつ】だけを火にかけて軽く煮詰める。粗熱が取れたら豆を戻し、そのまま甘みを含ませる。器に盛り、あればちょろぎ、凍みこんにゃく(凍結・乾燥させたこんにゃく)のしょうゆ煮をあしらう。
★器・近茶文庫
豆にみつが入ったぶん豆の水分がみつに出て薄まっているのでみつだけ軽く煮詰める。日持ちもよくなる。このとき豆を乾燥させないよう注意。
このレシピをつくった人
柳原 一成さん
(1942~2022)江戸料理を伝える懐石料理の宗家。東京赤坂で料理教室を主宰。全国各地の郷土料理や伝統行事食に造詣が深い。
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