【からだのための”食材ファイル”】季節の人気食材 vol.10 鶏肉 PR
今回は 鶏肉 です。
脂肪が少なくクセのない味
鶏肉は牛肉、豚肉と比べると脂肪が少ないことから、生活習慣病を抱える現代において比較的使用頻度の高い食肉です。鶏は江戸時代末期までは「時を告げる鳥」として、また闘鶏、愛玩などの娯楽目的で飼育されていました。カステラやボーロなど鶏卵を使用した南蛮菓子が伝わったことで、採卵用に飼育された時期を経て、本格的に食すようになったのは第二次世界大戦後です。ブロイラー(下記)が導入され、上質な鶏肉が安価となり、一般家庭にも鶏肉料理が普及しました。
栄養的には良質のたんぱく質である必須アミノ酸のメチオニンが豊富です。部位によって栄養は異なり、例えばむね肉はアンチエイジング効果が期待できるカルノシン、アンセリン、抗疲労成分であるイミダゾールジペプチドを多く含み、皮や軟骨は血管や皮膚を健康に保つコラーゲンが豊富です。またトサカには天然のヒアルロン酸が含まれています。
鶏肉 基本情報
エネルギー(100g中) 204kcal(若鶏もも皮付き)
糖質量(100g中) 0g(若鶏もも皮付き)
皮付き1枚あたり:280g/571kcal
食品成分表(若鶏もも皮付き 可食部100gあたり)
たんぱく質……16.6g
脂質……14.2g
無機質
カルシウム……5mg
鉄……0.6mg
ビタミン
B1……0.10mg
B2……0.15mg
C……3mg
薬膳の考え方から見た食品特性
五味…甘
五性…温
帰経…脾・胃・肺
各部位の特徴
A むね肉
肉質はやわらかく、低脂肪であっさりとした味。火を通しすぎるとパサつきやすいので、弱火でじっくりと。
B ささみ
牛や豚のヒレに相当する部分で最もやわらかい。栄養的にも優れている。スジは除き酒蒸しにしてサラダ、和え物などに。
C もも
よく動かす部分なので肉質はややかためで弾力があり、味にコクがある。骨付きはスープやローストなど、骨なしは唐揚げ、煮物に。
D ハツ(心臓)
独特のややかたい歯ごたえがあり、牛や豚より、臭みやクセは少ない。焼き鳥や炒め物などに。
E すなぎも(筋胃)
胃袋の筋肉が発達したもの。脂肪が少なく、コリコリした食感が特徴。炒め物、和え物、煮物に。
F 手羽(手羽先+手羽中+手羽元)
手羽先は肉が少なく、ゼラチン質や脂肪が多い。手羽中はゼラチン質が豊富。手羽元は脂肪が少なめ。いずれも幅広い調理法で楽しめる。
G レバー(肝臓)
血抜きしてから調理を(P.209)。
H 皮
脂肪とゼラチン質が豊富。フライパンで弱火で熱すると、旨みたっぷりの脂が出るので炒め油にしても。
鶏肉 豆知識
鶏肉の「味」は何で決まる?
これを導き出す方程式は、「鶏の品種×飼育期間×エサ×飼い方」。鶏肉の場合、おいしさのポイントは飼育期間。安価な国産若鶏は47日間程度で出荷されるが、地鶏は旨みが十分に出るといわれる75日間以上育てたもの。長く飼うほどコストがかかるので価格は当然高くなる。
ブロイラー、地鶏、銘柄鶏の違い
「ブロイラー」は成長が早く肉づきがよくなるように肉専用種を掛け合わせた一代雑種の「若鶏」のこと。生産効率を高めるために、高カロリー、高たんぱくな飼料を与えて育てる。市場に流通する鶏肉の約90%を占める。
日本農林規格(JAS)により決められた「地鶏」の主な4つの条件:在来種由来の血統が50%以上で出生証明ができる素びなを使う・ふ化日から75日間以上の飼育・ふ化後28日目以降の平飼い(鶏舎の中または外で床や地面を自由に動けるようにして飼育すること)・ふ化後28日以降は1㎡あたり10羽以下の環境で飼育。比内鶏(秋田県)、名古屋コーチン(愛知県)など多数。
「銘柄鶏」は通常とは異なり、工夫を凝らした育て方をした鶏。大山どり(鳥取県)、赤鶏さつま(鹿児島県)など多数。
栄養を効果的に取り入れる
骨付き肉を煮る際には酢やレモン汁を加えて。カルシウムは酸で溶け出すので、煮汁もしっかり飲み干したい。また、コラーゲンの吸収率をビタミンCがアップさせてくれるので、唐揚げなどにはレモンをたっぷり搾って。
一番美味なのはむね肉?
日本では料理にもも肉をよく使用するが、フランスのレストランで丸鶏1羽の料理を注文すると、一番にむね肉の部分をマダムまたは主賓に取り分けるのだそう。最高においしい部位という証?ともいえる。
鶏肉の輸入事情
日本で消費されている鶏肉の約22%が輸入肉。高い供給力と価格面で優位性のあるブラジル産が全輸入量の約70%、タイ産が約20%を占めている。また、加熱処理された唐揚げ、焼き鳥、近年人気の高いサラダチキン、フライドチキンなどの鶏肉調整品の輸入量が増加傾向にある。
鶏肉にもランクがある?
牛の肥育は約14~20ヶ月、豚の肥育は約6ヶ月。その間の環境や水、飼料、出荷のタイミングなどによって肉質が変わり、見た目やサシ(脂)の入り方、歩留まりなどによってランクがある(P.203、207)。一方、鶏の肥育日数は短く、特にブロイラーでは歴然とした差が出ないのが現実で、ランク付けはされていない。
栄養ワンポイント
イミダゾールジペプチド
鶏むね肉に最も多い
カルノシン、アンセリンという名前のジペプチド。鶏むね肉に1223mg/100gも含まれ、抗酸化作用や抗疲労効果が認められています。1日に50gの鶏むね肉(焼き鳥で2串)を摂れば必要十分な量が補給できます。
ヒアルロン酸
強い保湿成分を持つ
体内でたんぱく質と結合する性質を持つムコ多糖類の一種。皮膚、目の水晶体、関節液、関節軟骨などの細胞と細胞の間に多く存在し、水分の保持やクッションのような役割で細胞を守っています。水と結合してゲル状になり、皮膚の柔軟性を守ることから、保湿成分として化粧品などに利用されています。体内のヒアルロン酸濃度は、加齢とともに減少していきます。
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