あじの酢じめ
傷みやすい魚を長くおいしく食べるため、先人たちの知恵から生まれた「酢じめ」の手法。今回は、初夏に旬を迎える身近なあじを使って紹介します。
写真: 日置 武晴
*1匹分
材料
(つくりやすい分量)
- ・あじ 4匹
- ・塩 適量
- ・米酢 適量
つくり方
あじは頭を左側にして置き、包丁の背でウロコをこそげ取る。最初は包丁の背を軽く頭側に倒し、尾から腹の真ん中に向かって動かす。
ヒレ、頭、ゼイゴの周りなど、包丁を入れる部分を重点的に取る。
包丁の背を尾側に倒し、腹から頭に向かって動かす。この向きなら、胸ビレの内側のウロコも取りやすい。裏面も同様に取る。
胸ビレのつけ根の少し横から斜め下に包丁を入れる。裏返し、切れ目に合わせて包丁を入れ、そのまま頭を切り落とす。
頭を右側にして置き、背ビレと平行になるように包丁を入れ、腹から尻ビレまでを少し切り落とす。
包丁のつけ根の角を使い、切った腹から内臓をかき出す。刃先で、血合いの部分に切り込みを入れる。
水を入れたボウルの中で、親指で血合いを押し出し、全体をサッと洗う。紙タオル(不織布タイプ)で水けを拭き取る。腹の中もしっかり拭く。
頭を右側にして置き、左手の親指と人さし指、中指の3本で身を軽く押さえ、腹側の皮に切り目を入れる。
包丁を一度押してから引くようにすると、皮が切りやすい。皮に切り目を入れておくと、身を切るときに包丁がすんなり入る。
左手の指で身を少し背ビレ側に傾けて切り目を開き、中骨に当たるまで包丁を入れ、腹側の身を切る。
身の向きを変え、背ビレの上の皮に切り目を入れ、背側の身を切る。
身と中骨の間に包丁を入れ、腹から尾に向かって滑らせる(尾は切り離さない)。
尾を左手で持ち、包丁の向きを変え、頭側に向かって包丁を滑らせる。
再度包丁の向きを変え、尾のつけ根を切り離す。これで半身がおろせた状態に。
裏返して同様に背、腹の順に皮と身を切る。腹骨を少し持ち上げ、頭側に向かって中骨と身の間に包丁を入れ、腹骨と中骨を切り離すようにはずす。
これで頭側から腹の真ん中まで、身がはずれた状態になる。
腹の真ん中から、中骨と身の間に包丁を入れ、尾に向かって滑らせ、身を切り離す。
三枚おろしが完成。
最初にバット全体に隙間なく塩をふり、あじの皮を下にして並べる。上から塩をびっしりとふり、ラップをかけて冷蔵庫に入れ、20分間おく。
高い位置からふると塩が周りに散るので、低い位置から確実にふる。
20分間おくと、あじからうっすらと水けが出てくる。
水でサッと洗って塩を流し、2枚の紙タオルではさんで水けを拭き取る。
バットに米酢を入れ、皮と身が重ならないようにあじを並べ、酢が均一に行き渡るよう上から紙タオルをピッタリ貼りつけて5分間おく。
米酢はヒタヒタ程度に。あじは皮と身を重ねると、ウロコがついたり、身が傷つきやすくなる。
5分間おくと、身の表面が白っぽくなる。
ボウルを重ねたざるに、あじを並べて酢をきり、2枚の紙タオルではさんでサッと汁けを拭く。
皮と身が重ならないように、身を内側にして重ねる。
身に残った腹骨が左側になるように置く。骨の向きに沿って包丁を入れ、薄くすき取る。
小骨を骨抜きで抜く。抜く際に親指と人さし指で身をつまみ上げると、身が割れず、きれいに抜ける。
抜いた骨は、水を入れたボウルに入れると骨抜きにくっつかず、作業しやすい。
最初に腹側の端を指で少しめくり、左手で身を押さえながら、一気に最後まで皮をむく。
皮をむくときに、堅いゼイゴも一緒に取れる。
【保存について】
酢じめは時間とともに酢がとび、水けが出て生臭くなるので、塩づけにした状態での保存がおすすめ。18で水けを拭いたら、2枚ずつ身を内側にして紙タオルで包みます。バットに入れてラップをかけ、冷蔵庫で3日間保存できます。
このレシピをつくった人
高井 英克さん
京都、赤坂、麻布の日本料理店で修業を積み、2009年に独立、料理研究家となる。主宰する料理教室では、四季折々の和食の献立ともてなしの楽しさを紹介。持ち前の探究心と遊び心をいかんなく発揮している。
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