*全量
(つくりやすい分量)
1.骨格の構造を意識し、むねだけにていねいに切り分けます。くびづるがついている場合は、皮をくびの付け根までめくりあげ、くびづるを切り落とす。
2.手羽先の関節に包丁を入れて切り落とす。浮いている皮は切り除く。
3.腹を上に向けてまな板に置く。皮をむねに寄せ、ももの付け根の内側の皮のみを切る。
4.ももを手で外側に倒して関節を外す。
5.関節の下から尻に向かって骨盤に沿って包丁を入れ、切り進める。
6.次は逆に尻側から包丁を入れ、関節まで切り進める。
<★ポイント>ももを引っ張りながら包丁を当てると切りやすい。
7.そのまま背骨に向かって切り進め、軽く引っ張りながら切り落とす。
8.くびの付け根にあるV字形の鎖骨の内側と外側に沿って包丁を入れ、鎖骨を起こして取り外す。
<★ポイント>鎖骨がついたままだと、焼いたあと切り分ける際に作業しにくいので、この時点で外しておく。
9.焼き上がりの目安は“おいしそう”な焼き色。最後にバターをからめます。直径26cm以上の表面加工のしてあるフライパンに米油大さじ1を入れて中火にかけ、すぐに鴨のむねを、背側を下にして入れる。約3分後、くびづると手羽先も加える。油ハネに注意しながら焼いていく。
<★ポイント>くびづると手羽先は、ソースとリゾット用のだしをとるために焼く。
10.約5分後、背側においしそうな焼き色がついたらバットにとり出す。くびづると手羽先も焼き色がついたらとり出す。
11.焼き汁を捨て、フライパンの焦げを洗い落とす。再度フライパンに米油大さじ1~2を入れて中火にかけ、むねを戻し入れる。両側面、腹側、くび側など向きを変えながら焼く。
12.全面においしそうな焼き色がついたらとり出す。
<★ポイント>鴨の大きさや脂、肉のつき具合で変わるが、とり出すのは約10分後。尻を下にして持ち上げると落ちる肉汁が、透明な状態になるのが目安。
13.フライパンを洗い、中火にかけてバターを入れる。溶け出したら、むねを戻し入れ、全面にバターをからめながら温める。
<★ポイント>焼く際についた焦げ臭をバターで洗い落とすイメージ。バターが色づくとナッツのような香りがついてしまうので、色づく前に引き上げる。
14.すぐにむねに塩をふる。
<★ポイント>塩の分量は鴨の重さによる。目安は鴨の重量の0.8%。
15.むね肉、ささ身、だし用の骨、と丁寧に切り分けます。むね肉は最後に炙(あぶ)って香ばしく。むねにふった塩が溶けたら、胸骨の両側に包丁を入れ、すべらせるようにして切り進める。
16.むね肉を外側にめくりながら、手羽の付け根の関節を切る。横に倒して肩甲骨に沿って包丁を入れて切り進め、むね肉を引っ張って切り離す。筋、余分な皮を取り除く。
17.むね肉の下にあったささ身を切り外し、ささみ中央の筋を取り除く。
18.食べる直前、16で切り離したむね肉に扇形に3~4本金串を打ち、直火(じかび)で皮側のみを炙る。食べやすい大きさに切り、【リゾット】を盛った器にささ身と共に盛る。【白いソース】をかける。
19.焼いたむねから取り外した骨などを煮出すだけで濃厚なだしが。バターと合わせ、鴨(かも)の風味豊かなソースに。くびづる、切り分け終えた鴨から外した骨などを細かく切ってフライパンに入れ、かぶるくらいまで水を注いで中火にかける。アクが出て固まったら火を弱め、すくい取る。
20.途中、表面から骨が出たら水を適量ずつ加え、沸いた状態を保ちながら煮る。約30分後、紙タオル(不織布タイプ)を敷いたざるでこす。こし終えたガラを再度フライパンに戻して水を注ぎ、中火にかける。沸いたらこして一度目のだしに加える。
21.とっただしのうち、150mlをフライパンに取り分けて中火にかけ、沸いたらバターを加える。そのまま沸いた状態を保って約5分間煮詰め、塩適量で味を調える。
22.骨を煮出した鴨だしで生米を炒めて炊き、付け合わせをつくります。仕上がりの堅さはお好みで。鍋にバターを入れて弱火にかけ、溶けたら、米を加える。全体がしっかり透き通るまでよく炒める。
23.だしを加えて火を少し強め、底からよく混ぜる。沸いたら火を弱め、途中、水適量、塩適量を加えながら、火が通って柔らかなおじや状になるまで約20分間煮る。
【白いソース】エネルギー70kcal(全量)、調理時間40分
【リゾット】エネルギー340kcal(全量)、調理時間30分
●ジビエとは
今回の鴨をはじめとする野鳥類、鹿、いのしし、野うさぎなど、主に狩猟解禁シーズンに捕獲して料理に用いる野生鳥獣を、フランスでは“ジビエ”と呼び、主に秋から冬の季節の味として親しんでいる。
【プロの技法 1】
●希少な“ソリレス”をつけたままもも肉を外す
1羽から2コしかとれない希少な部位“ソリレス”。骨盤の上のくぼみにあるためにとりにくいとされる。が、まず骨盤に沿って尻に向けて切り進め、その後、向きを変えてももを引っ張りながら切ると、ソリレスをもも肉につけたままきれいに外すことができる。
【プロの技法 2】
●調理は五感を研ぎ澄ませて
調理の際、特に肉を焼く際は、五感をフル活動させることが重要。素材から出た水分が油にはぜる音を聴き、焼き汁や素材の焼き色を見、ときには素材の触感を指で押して確かめる。五感を働かせることで、素材の微妙な変化をとらえることができるのだ。
【プロの技法 3】
●常識を覆す白いソースで
肉の赤み、野生の香りが強い鴨には、骨からとっただしを血でつないだ赤いソースを合わせるのが定番。ところが、米を食べる鴨を使う今回はあえて白いソースに。日本に渡り、優しい甘みの米を食べて命を育んでいた鴨。その繊細な味を生かすためだ。
◆切り離したもも肉を使ったおすすめのレシピはこちら◆
鴨もも肉のロティ